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2024/04/29

Winter city in Dansk Architecture Center 冬の街エキシビジョンオープニング

 Vinterbyen 冬のまちの使い方@DAC


Dansk Arkitektur Centerはコペンハーゲンにある、建築や都市に関する展示をする施設。かつての波止場の地域にあり、その当時倉庫として使われていた建物を改装して、建築専門書の書店やカフェが併設されている。デンマークの建築を中心に、世界内外の建築について紹介している。デンマーク語だけの説明のときもあれば、英語の併記している場合もあり、デンマークで建築書を探すなら、ここしかないので、建築をやっている人なら、必ず行くところでもある。

一階と二階の展示空間があり、一階はたいてい有料で(水曜の夜だけは無料)、一人の建築家や建築事務所をフューチャーして紹介するものが多く、二階は無料でパネルだけの簡単な展示が多い。今回はこの二階の12月から始まった展示のオープニングに行ってきた。


展示の説明をする展示のワーキンググループ


Vinterbyen 冬のまちの使い方

暗くて寒くて長い北欧の冬。一説には日本でも人気のあるシンプルな北欧インテリアは、この冬を乗り越えるために、シンプルで長く室内にいても邪魔をしないインテリアとして発展したとも言われている。それゆえ、冬のコペンハーゲンの街には人がいない。逆に夏は道端でトランプしたり、芝生でビキニで日光浴するデンマーク美女など、道路端の排気ガスがすごそうなところでも、デンマーク人は気にせず外に出ている。冬は全然外で遊べないことを憂いたデンマーク人が、どうやったら冬も外で楽しくすごせるか?というテーマで展示をしている。

展示の構成は、世界から集めた冬の街の空間を写真パネルで紹介するものと、では実際にコペンハーゲンでどんな冬の空間が可能かというおおまかに二部構成。

世界から集めた事例の方が面白かった。


世界の都市における冬ならではの空間の使い方を紹介。



モダンな鎌倉の提案(トロント、カナダ)


籠状になっている建物に、薪を入れて壁にしている。中央の火鉢に焼べていく。(Winnipeg、カナダ)


展示空間に再現されたファブリックを使ったブランコ

この世界各地から集めてきた冬のまちの使用例はカナダが多かった。カナダの冬がデンマークより厳しいこともあるだろうが、このワーキンググループが調査したものはカナダで行われている冬空間のパヴィリオンからのものが多かった。

実際にコペンハーゲンでどんなものが可能かという展示は、実際にコペンハーゲンの街のとある一角を設定していくつか考えられたが、橋の下の空間を公園にしたりと、あまりインパクトがない。


赤ちゃんはベビーカーごと外で寝る

冬でもデンマークではカフェのテラス席は誰かしらがお茶をしているのを見かける(近くに火鉢か暖房がある)し、レストランの外でも赤ちゃんを寝かせたままベビーカーをおきっぱなしにしている。どうも北欧では、外の空気の方が新鮮できれいということで、ベビーカーのまま、ベランダなど外に赤ちゃんを寝かせることは健康によいとされているのだか、見ているこっちが赤ちゃんが誰かにさらわれないか心配になるほど、街中でもよく見る。

ちなみにデンマーク人の夫はほとんど風邪を引かない。日本人の私は昔からの習慣で外から帰るとうがい手洗いを必ずしているが(デンマーク人はうがいしない)、それでも、私が風邪を5回ぐらい引いている間に、夫は1回ぐらいしか引かない。風邪を引くか引かないかは、うがい手洗いに関係なく、どうもこの赤ちゃんの時からの外で寝かせるという習慣に起因しているのではないかと思う。なので、冬のまちの使い方は、良いなと思っても、デンマーク人しか楽しめないだろうな、と思った。



 Vinterbyen展@ DAC

場所:Dansk Arkitectur Center デンマーク建築センター
(メトロ クリスチャンハウン駅から徒歩で10分ぐらい。
ホームページ:http://www.dac.dk/en/dac-life/exhibitions/2015/the-winter-city/
期間:2015年12月18日〜2016年2月21日
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2015/12/22 建築 Comment(0)

Travel to Switzerland スイスへの旅 ラ・ショー=ド=フォンの街並

縁あってスイスへ

友達の結婚式に招待され、スイスへ旅行へ。デンマークと比べても物価の高いスイスなので、こんな機会がないとスイスへ来ることもないだろうなあと思っていたが、せっかく来たなら、近代建築の父、ル・コルビュジエの生誕の地へ行ってみようと思い立った。

コルビュジエの建築を見に行くなら、まずはフランス。したがって、わざわざスイスまで、彼がインターナショナルスタイルに目覚める前の住宅スタイルを見に行く人はそう多くないと思う。彼が生まれ育ったスイスの山奥の町、ラ・ショー=ド=フォンでの数件の住宅は、概して保守的で、その後、建築界を席巻するインターナショナルスタイルのインパクトからすれば、若い駆け出しの建築家が、親戚の顔色をうかがいながら、無難につくったのだろうという印象すらある。ともあれ、近代建築の父、コルビュジエがどのようなところで育ったのか、とても興味深い。

駅を降りて思ったのは、「あれ?なんか近代的?」という印象。スイスの山中の町というと、ぐねぐねした坂道と古くて天井高の低い可愛らしい家が並んでいると想像していたが。。町の看板を読むと、1794年の大火事でそれまでの町が全焼したため、その後の都市計画で、ニューヨークのグリットに倣って再建したとのこと。鎌倉の七里ケ浜周辺の住宅地のような雰囲気で、山の手が戸建住宅、山の下に中層集合住宅が建っている。再建から200年経ってるとは言え、なんとなく厚みの感じられない街並だ。1794年ということはコルビュジエもこの街並で育ったということになる。



町全体は全体に傾斜しており、ガレージと壁が路面につらなる。


コルビュジエの両親の家へ

駅から丘に向って歩く。コルビュジエによる住宅群は町の中でも一番の高台にあり、塀に囲まれた広い庭の中にある。そういえば山の手も下手もちょっと塀が多い。コルビュジエの住宅を探すにも、ちょっと覗き込んだりしないとなかなか見つけられなかった。しかも、どれも割と似ているので、あれかこれか、とどれかはっきりわからなかった。塀をのぞきながら、まず最初に現れるのがVilla Fallet。どの家も庭に向かってテラスとバルコニーのある妻入りの屋根が向いているのが、ここ周辺の住宅の特徴である。



Villa Fallet。

Villa Fallet(1906年竣工)、コルビュジエの処女作(若年17歳)。住宅の形状はこの地域の典型的なシャレー風であるが、壁面の装飾が他とは異色である。アールデコ調の模様にも見えるが、色使いがちょっと土着的というか、土臭い印象である。René Chapallazの指導の下、この地域のアールヌーヴォースタイルと模索しようということだったようだ。裏手のガレージと駐車スペースがなんだが、とても世俗的に見える。
そして、ぐんぐん先に進むと、Ville JacquemetとVilla Stotzer。これも、どれだ?と思いながら塀からのぞいて探す。おまけにこの二つの間、目の前にも似たような住宅があるので、どれだけ初期の住宅群が特徴がないかが分かる。しかもVilla Stotzerは工事中で足場が掛かっていて、全体像が見づらい上、どこまで私有地で入っていいのかがよくわからなかった。

そして、一番奥にVilla Jeanneret-Perret(1912年竣工)。これだけははっきりとコルビュジエだ!と分かる白亜の邸宅。ファサードには白い壁に連続窓、鉄の細パイプの欄干は多く言及されないが、近代住宅に多く見られ、簡素で軽い印象を全体に見せている。住宅の形状も、妻入りのシャレー風ではなく、イタリアヴィラ風の半円のニッチが特徴的で、さらにそれが坂を見下ろす正面でなく、サイドに面しているのが、ひいき目に見てモダンな印象を受ける。

Villa Jeanneret-Perre。

Villa Jeanneret-Perretはもっとも小高い丘の上にあり、コルビュジエの両親のための住宅である。スイスという国自体も保守的と聞くし、山奥の小さい街で周囲とは趣の違う住宅を建設することは、多少勇気がいっただろうなー、とも思う。住宅の中身は次のブログで検証します。

2015/07/23 建築 Comment(0)

The center for cancer and health by NORD architects


コペンハーゲン建築週間



建築に関連した講演会、建築ツアーが組まれていたので、NORD architectsの講演会へ行ってきた。
実際に彼らが設計した建物の中で、講演が行われたので、説明と建築がそのまま直結して体感できる。


中庭

ロビーからベランダを見る、ロビーの吹き抜け

    
リハビリ室、 外壁

ガン治療のための滞在型小規模医療施設

この施設のコンセプトは大病院のような医療空間ではなく、住宅サイズの医療空間で治療するというコンセプトの下、コンペが行われ、Henning Larsenなどの大きい建築事務所を抑えて、地元のNORD Architectsが勝利し建設された。

この施設は、ガン治療のための滞在型医療施設で、対象は末期がん患者ではなく、ガン治癒の可能性のある患者を対象としたリハビリ施設である。この施設から徒歩10分ぐらいの距離に基幹病院であるRigshospitaletがあり、そのアネックスである。

デンマーク自体がそんなに大きくないため(人口規模で兵庫県、面積は九州ぐらい)、いわゆる大病院もそんなにあるわけではないのだが、滞在型で小規模の医療施設はあまり見ない。

デンマークの医療についてざっくり説明すると、基本、国民にひとりファミリードクターがついており、普段はそのファミリードクターが自分の健康状態を見る。といってもよほどのことがないと、自分のファミリードクターに予約して会いに行くということはない。デンマーク人は風邪ぐらいではもちろん病院に行かず、しかも薬ではなく、カモミールティーで治す。なので、よほどのことがない限り医者には行かないのだが、その場合でも簡単な手術はそのファミリードクターのオフィスでしてしまうので、大病院に行くのは、ある一定以上の複雑な医療が必要な時ということになる。

立地はコペンハーゲンの中心市街地から徒歩で20分ほどの、比較的交通量の多いバス通り沿いにあり、近くには歴史の長いGamles Byという老人向け集合住宅群があり、その端部の敷地に建っている。De Gamles Byは2〜3階建てのレンガ造の建物で、この施設は、外観的にもその建物群と区別するために、ガルバリウム二階建ての建物になっている。

三つの軸をもつグリッドに合わせて屋根の棟が立てられ、道路車線の規制なのか、屋根は大きい道路に近い方から遠い方に向かって低くなっている。それに影響されて、天井高が高い方は運動室など公共の空間に、天井高が低い方は細かく区切られ、検査室などが配置されている。

デンマークの建築というのは、日本と違って、デザインをする建築家と構造などを見るコンストラクションアーキテクトを職域が分かれており、実際の建て方や微妙なマテリアルの指定まではデザインアーキテクトが深く関与して進められることはないようだった。実際、このプロジェクトも公的なプロジェクトなので、建設に関してはなるべく建設費を抑えて効率的な積算を求められていると思う。

デンマークには、大手デベロッパーという業種はなく、大きな建設プロジェクトというのは、クムーネやコンサル会社で進められ、ファンドが集まったら建設するので、デンマークの若手建築家のホームページでプロジェクトを見ると、実際に建設に至っていないことが多い。なので、敷地だけはあるが、いっこうに建設が進む気配がないということもしばしば。。。

デンマークの建設業も事務所も、ある一定のたががあるようで、建築も形状に終始してしまうので、おなかいっぱいにはならないなあー、これでも建築ができるんだなー、と感じてしまう。





2015/03/31 建築 Comment(0)

Ordrupgaard museum Finn Juhl House

オードロップゴー美術館 フィンユールハウス



オードロップゴー美術館には、絵画などを展示する館とは別に、デンマークの家具デザイナー、フィン・ユールの自邸がある。ここはデンマークを訪れたなら、ぜひ訪れてもらいたい建築の一つである。


一般的にはデンマークの家は、日本に比べると、一人当たりの面積が広い。人口も少なく、住宅の土地が足りないということもないので、いわゆる戸建て住宅であれば、住宅以外に、前庭、裏庭、ガレージ、菜園、サンルーム、物置小屋があるのは普通である。

室内の基本的な印象は、寒くて暗い冬を乗り切るためか、室内は長時間過ごしてもうるさくないインテリアになっていることが多く、デンマーク人の家庭を訪れると、大抵どの家も広いリビングに心地よいカウチと北欧らしいシンプルなインテリアで、他人の家ですら、リラックスできるしつらいになっている。

このフィン・ユールハウス、その中でも、とても居心地がよい。内観の写真は撮影不可のため、下の公式URLからご覧いただきたい。暖炉、家具、窓の位置が絶妙にデザインされ、スケール感もここちよく、平屋根、三角屋根もそのまま内観に現れ、その高さ、室の段差の取り方など、とても計算されたものである。それだけ計算されているだけに、いわゆる模様替えをするという余白はないが、どの家具にしても動かしがたい心地よさを保っている。

このフィンユールハウス、全く同じものが日本の高山に建っているので、空間は日本でも体感できる。
http://www.fjc.kitani-g.co.jp/main/finn/finn10.html
このHPの説明にもあるとおり、フィン・ユールはこの住宅の設計において内観から考えて構築する手法を取っているとある。

玄関を入った待ち合いには、植栽とソファベンチの組み合わせた溜まり空間があり、そこならば何時間でもいられるというくらい心地よい。また、ベッドルームの空間は、佐藤光彦さんの住宅、西沢立衛さんの森山邸のスケール感にとても似ていて、もしかしたら住宅は家具も含めて建築家がコントロールしたほうが上手くいくのかもしれないと思わせる。
日本の建築家はとても住宅のスケール感、素材感、空気感に敏感な方だと感じるが、デンマークでの住宅への考え方は、日本とは違った次元から生まれていて、実際には文化慣習的に許容できる広さ、家具と家具との距離感、一人当たりの面積の広さなどから、熟成されている。

■建築概要■
オードロップゴー美術館 フィンユールハウス Ordrupgaard Museum
設計:Finn Jurl House
竣工年:1941年
場所:Charlottenlund, Denmark
用途:住宅
HP:http://ordrupgaard.dk/










2014/10/06 建築 Comment(0)

Ordrupgaard museum extension オードロップゴー美術館増築

オードロップゴー美術館増築 by Zaha Hadid 

シャネルモバイルアート、表参道のブティック以外、ちゃんとしたザハ・ハディッドの作品はまだ見たことがなく、見なければ見なければと思っていた。

ビトラ社の消防ステーションを見た方に、周囲の動線、位置計画、消防車、消防署員の動きなど、すべての動きが組み合わせってあのプランができている、という感想を聞いたとき、ザハはおそらく、人や車両、ものなどの動線計画を汲み取って、それをそのまま素直に形にするのではという印象を受けた。

このヨーロッパの小国デンマークにも、ザハが手がけた美術館がある。

この美術館、入り口を入って、チケット売り場があり、比較的規模が小さいこと、チケット購入の有無を服に小さいシールを貼る形で入館をチェックするため、物理的なゲートはなく、ゆるく空間が分かれている。

動線に従えば、展示空間1→旧館→一度入り口に戻る→展示空間2→もう一度入り口に戻る→カフェコーナー(写真)→庭園→旧館と増築をつなぐブリッジの下を通って、エントランス方向へ→外のフィンユールハウスと、実にスムーズに行くことが体感できる。

チケット売り場の動線は交差するものの、美術館の規模を考えると、人にあふれることはほぼないため、一筆で描ける構成になっている。そしてそれがそのまま空間として建ち上がっているという印象を受けた。日本の精度からすると、施工はやや難だが、こじんまりとザハらしいリニアな計画が実現されている。

旧館のクラシカルな印象に対して、この新館の外観は異質ながらも、滑らかに繋がる空間を体現している。

■建築概要■

オードロップゴー美術館増築 Ordrupgaard Museum
設計:Zaha Hadid/Zaha Hadid Architects
竣工年:2005年
場所:Charlottenlund, Denmark
用途:美術館、カフェ
HP:http://ordrupgaard.dk/
建築の詳細HP:http://www.zaha-hadid.com/architecture/ordrupgaard-museum-extension/
1,150㎡

2014/10/01 建築 Comment(0)

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